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孫悟空 (大鬧天宮)
(そんごくう・だいとうてんきゅう)

<演目紹介>
「孫悟空」はいうまでもなく、呉承恩の「西遊記」からの劇化で、中国では「鬧天宮」と題されている。
竜宮で乱暴をはたらいた悟空を懲らしめようと、玉帝が天界におびき寄せたところ、
企みを知った悟空が散々に天空を荒らし、征伐に来た神将たちを逆にまた悟空が破るという、
「西遊記」のごく初めの部分を全11場に仕立てた劇である。
もちろん、劇化にあたっては、かなりの省略と脚色が施されている。

<見どころ>
ダイナミックで的確迅速、アクロバットの身のこなし、刀槍を振り回すときの計算しつくされた演技は
理屈ぬきで楽しい、爽快である。もうひとつは孫悟空の表情だろう。
役者の悟空になりきる表情作りは力量が問われるし、見逃せない楽しみのひとつだ!
ちなみに、神力を得てから悟空の目は白から金に変わります。



<あらすじ(全11場)>
第1場「霊霄殿」(れいしょうでん)
玉帝の前に竜王が進み出て言う。
孫悟空なる妖猿(ばけざる)が龍宮に来て、その昔、江海の深浅を探るのに使った神珍鉄を
如意禁錮棒(にょいきんこぼう)に変えて持ち去ったばかりか、鎧、冠など数々の悪さをして
大暴れしていったことを訴え、なにとぞ神将を遣わして悟空を征伐して欲しいと懇願する。

それを聞いた太白金星・李長庚が言う。
武力で制圧するよりは天宮に召しだし、官職を与えて懐柔するのが賢明、と進言する。
玉帝はその策を採用し、李長庚に一任する。


第2場「花果山」(かかざん)
悟空の拠点、花果山の水簾洞。
龍宮での悟空の活躍を再演し、お祭り気分に浸っている。悟空は高級文官の黄色の衣装を
身にまとい、頭には雉の羽のりんずをつけて仲間の小猿たちと歌い踊る。
そこへもぐりこんだ李長庚が天上界の素晴らしさを吹聴し、もし悟空が天宮に仕えるなら
たくさんの駿馬を乗りこなすことができると甘い言葉で誘う。
お調子者の悟空はまんまと計略に乗り、馬を管理する部署に仕官する。



悟空唱う。「俺は癇癪玉が破裂して、ひと暴れ、龍宮で大暴れ」
小猿たち和して唱う。「勇ましや、あっぱれ、あっぱれ」


龍宮荒らしを再現してみてはいかがでしょう?



そこへもぐりこんだ李長庚が登場。
「天界へお昇りくだされ。天界は霊光眩き、祥雲は香を散し、宮殿は金赤青の色彩まばゆく・・・




さらには数えきれぬほどの駿馬もおり・・・」
「なに!駿馬もおるとか!むらむらと行きたくなったわい!」



とんぼ返りを打ったと思った瞬間!悟空は消える。
「あれ、大王は?」
小猿が答える。「我らが大王はキン斗雲に乗って天空へ!」
「キン斗雲とな?それは何じゃ?」
「キン斗雲はキン斗雲、十万八千里もひとッ飛びー」


第3場「御馬檻」(ぎょばかん)
天宮の厩・御馬檻で、馬役人のふたりにおだてられた悟空は、得意満面で馬を乗りこなす。
御馬檻の長が現れても一向に敬意を示さぬ悟空に怒った檻長は
「おまえはただの馬番に過ぎない」ことを暴露する。
騙されたと知った悟空は檻長たちと大立ち回りの末散々大暴れして花果山へ引き上げる。


 (扇を指一本で操る芸の見せ場)


たいそうな役職に着いたと有頂天の悟空。
赤い衣装に身を包み、ただの馬番とも知らず勘違いして喜んでいる。

 (鞭一本で馬を表し駆ける有様を仕草で見せる)




「どうどう、これはほんの小手調べ・・・」



馬を上手に乗りこなし、駆け出す悟空を見て、役人も思わず
「見事なお手並み!ほんに見事なお手並み!」

有頂天で駆けている所へ、本物の馬王が登場。
「騙したな・・・みんな毒蛇!みんなペテン師!大うそつきのごろつきだ!
大暴れせにゃ気がすまぬー!」


第4場「紫辰宮」(ししんきゅう)
馬檻長は大暴れしたことを玉帝に報告し、
今度こそ神将を遣わして悟空を捕らえて欲しいと願い出る。
李長庚は、近く催される王母誕生祝の席を、悟空の「斎天大聖」の就任式と偽りおびき寄せ、
油断したところを取り押さえる案を出した。


第5場「花果山」(かかざん)
花果山を訪れた李長庚は、玉帝が悟空のために祝宴を催すと招待と告げる。
悟空は承知をするが、何か計略があると見抜き、李長庚に姿を変えて天宮に探りに行く・・・。



「天空なんぞちょろい、ちょろい!」高慢・妖猿悟空の快進撃は続く。


第6場「幡桃宴」(ばんとうえん)
天宮では仙女たちが宴の準備に忙しい。悟空は仙女たちから、この宴が自分のためではなく、
王母の誕生祝であることを聞き出し、度重なる天宮の企みに怒りを爆発させる!
宴のために用意された桃を食い散らし、仙酒を浴びるように飲みつくし、
誕生祝をめちゃめちゃにしてしまう。



またまた、騙そうとしたことを知った悟空。「もう!怒ったぞっ!!大暴れせにゃ気がおさまらぬ!」




「ほっ!よき眺め、まずは仙桃。片っぱしからたらふく食おう」



「これは仙酒、飲めや、とろろの玉の酒、飲めや、とろろの玉の酒・・・」


第7場「丹房」(たんぼう)
仙酒をしこたま飲んで酔っ払った悟空は炉に入っている赤いふくべを見つけ、
中に不老不死の仙薬・金丹が入っているのを知ると、一粒残らず食べてしまう。

 「おっ!これぞ金丹!たらふく食ってやろう!」


金丹食べながら唱う。「一粒食えば仙道成就。
しかるになんと俺様は、煎り豆たらふく食らうよう。煎り豆たらふく食らうよう・・・」
(寝っころがって一粒残らず食べてしまう悟空) 

「さてさて金丹は俺様がきれいさっぱり食ろうてしまった!
もはやこの場に用はない!人無き隙にずらかるかー!」


第8場「南天門」(なんてんもん)
玉帝の企み憎し・・・と悟空が唱いながら歩いていると、神将が吼天犬を連れて通りかかる。
神将は隙を見て吼天犬をけしかけて悟空に噛みつかせ、ついに捕らえられてしまう。
犬猿の仲とはよくいったもので・・・。



「やい!妖猿!これでも術が使えるか!者ども、縛り上げて連れて行け!」

 (悟空の足元に吼天犬が噛みついている)


第9場「八卦炉」(はっけろ)
玉帝は悟空を八卦炉に投げ込んで焼き殺そうとする。
しかし、不老不死の仙薬・金丹を食べた悟空は死ぬどころか、逆に火によって鍛錬され、
炉から飛び出し、花果山に戻り仲間を連れて天宮に乗り込んでやる!と見得をきって退場。

「ふん!じいさん、また出て来たぜ!」 

「このじじい、全く考えが浅はかだ!俺様を炉に入れて金丹を練ろうなどと片腹いたい!」

「金丹を食ったからには体は金鉄。もはや刀や槍は通らず、雷火にもビクともせぬ!」
見たか!悟空様の真骨頂!

 (パワーアップした悟空は目が金色。衣装は焼かれて赤色に)

火に焼かれたことで、金丹の威力が鍛錬され神通力まで備えたのだった!
「火眼金晴の俺様に怖いものなどありはせぬ。」
高笑い・・・もう誰にも止められない・・・ 


第10場「排山」(はいざん)
悟空討伐団。総司令官・李天王は天界の四天君、東方の神・青龍、西方の神・白虎、
さらには日、月、火、水、木、金、土に日食、月食の神将九曜星。
神将総動員、十万の神兵を率いて悟空制圧に陣を進める!悟空危うし!
今度こそ絶体絶命なんじゃないのー?結末はいかに・・・?



神さまオールスターズ。どうだ!これでもか!「いざ決戦!」


第11場「凱旋」(がいせん)
山中に神将ら十万と、多数の小猿や大猿軍団が悟空を中心に気勢を挙げる!


 神将オールスターズvs大猿軍団


悟空がちょちょいと如意棒を振るだけで、ほうら、このとおり!ぶっとびー!



悟空は神将を軽くあしらい
「痛快、痛快。跳べ、舞え、廻れ!風を起こし、気を動かすなど、悟空様には朝めし前!」

「お前の早業など、俺様から見れば牛歩に等し!」




やがて激しい闘いになるが、神将たちは次々と敗れ、悟空に捕らえられる。



如意棒、重さは一万三千五百斤。縮めば長さは一針大。伸びれば万丈の雲にも届く。
一振りすれば風雲起こり、当たれば金鉄も微塵に砕く。



子猿たち悟空をかついで唱う。
「火眼金晴の斉天大聖、我らが大王、あっぱれ!さあ、故郷の花果山に凱旋だ!」



悟空たちは勝鬨(かちどき)をあげて花果山へ凱旋する。
終幕

(写真は1980年の孫悟空・李光)



<tuziの感想>
私は2002年日中国交回復30周年記念日本公演の際、北京京劇院の若手、
李丹さんの孫悟空を見た。まだ貫禄こそないが、表情が本当にかわいくて、
いたずらっこ悟空にはまっていたと思う。とってもいい悟空だった。拍手!
丁度同じ時期、中国京劇院でも国交回復30周年を記念して全国で上演をしていた。
こちらの孫悟空は李光さんである。
李光さんといえば国家一級俳優、李少春をはじめ数々の有名俳優に師事し、
孫悟空の代名詞的存在である。舞台上では強烈な迫力があり、魅力的な俳優として有名。
1941年生まれだから、60代の孫悟空ということになる。
若手の身軽さからはどうかと思うが、京劇の魅力はそれだけではない。
李光さんは声に厚みと艶があり、唱は表情豊かで、セリフは明確で歯切れがいい。
残念ながら、李光さんの公演はチケットが取れず行けなかった・・・。
私が李光さんの演技を見たのは「盗鈎」という演目だった。
最近の撮影なのか、かなり太っていた。
いぶし銀の風格もいいが、孫悟空は若手の李丹さんで正解だったと思った。
それに李丹さん、声も良かったですよおー!








vol.19