1997年 少林寺

第1回 1997年9月20日

滞在3日目 開封〜少林寺〜洛陽

高僧の墓塔
開封からバスで少林寺へ向かった。日光のイロハ坂のような山道を延々走る。
途中、荷台に石炭の粉を山積みにしたトラックと何台もすれ違った。この辺の山から採れるのだろう。

そんな道を走っていると、学校らしき建物が見えてきた。何校もある。
校庭ではキチンと整列した小学生が型(かた)の練習をしている。さすが少林寺のお膝元。
「八ッ!八ッ!」と、掛け声もそろっている。
ここには小学校から高校までと、僧呂になるべく学校が揃っている。
子供から大人にいたるまで武術を勉強するのだ。将来は僧呂になる者もいれば、
武術大学に進学を希望する者もいる。あるいはカンフー映画の俳優を目指す者も・・・。
映画「少林寺」の主演、リー・リンチェィがここ少林の出身だったかは忘れたが、
こんなに幼い頃から武術の英才教育を受けているのだから、競技会で優秀な成績を収める選手が
輩出されるのも頷ける。リー・リンチェィもそうだった。彼はもともと選手として活躍。
後に俳優となったのだ。その点、香港は状況が少し違う。
ジャッキー・チェンは京劇のアクションから映画界に入った、と聞いている・・・。

ここ少林には武術専門の学校が建ち並んでいます。
中国全土から集まった子供達のため全寮制です。ちょっとした町(村?)のようです・・・。
中国の教育は、幼い頃から専門の才能を伸ばせる方針にあります。
幼い頃から将来が決定付けられている、といってもいいくらい。
‘三つ子の魂百まで’‘雀死ぬまで踊り忘れず’か・・・?




私たちはまず、少林寺の上のほうにある墓地に案内された。
ここは少林寺で修業をし、やがて高僧となった歴代の僧呂が葬られている墓地だ。
歴代少林寺総長の墓群です。

墓はどれも塔です。無秩序に点在する様々な形の塔・・・。
高さが位を表してるのかと思えば、実はそうでもなくて。
説明によれば、一番の高僧の塔は、案外低かったりするのでした・・・。

 塔の一体一体が高僧の墓


少林寺の周りは山々に囲まれています。天気は快晴。半袖でも暑いくらいの陽気になりました。
墓地の背後の山をさらに登ると、ここ少林寺の開祖‘達磨大使’が‘禅’を行った場所が
あるそうです。
ここに辿りついて最初に座禅をおこなった場所とのこと。
私たちは行きませんでしたが、「是非いってみたい」と思いました。
だって、そうそう何度も来れないですもの・・・


少林寺

 少林寺


少林寺は達磨大師が開祖の‘禅宗’の寺院です。でもなぜその寺院で武術なのでしょうか?
ここは山々に囲まれた場所にあって、その昔は盗賊、山賊、トラが多く出没したといいます。
僧侶たちは寺を守るため、自衛の技術を身に付けねばならなかった。
そこで‘拳法’です。拳なのでこれは素手ですが、他に様々な武器があみ出されて現在に
至っています・・・。
というわけで、ここ少林寺は拳法愛好者のメッカ。憧れの地なのです。

どんな武器を使おうと、基本動作は拳です。拳法も出来ない人が武器を持ってもどうにもならない。
この時私は太極拳を始めて半年だったので、特に少林寺に対しての思い入れはありませんでした。
だけど、達磨大師には興味がありました。彼はインド人です。
とすればインドが中国武術のルーツということになるにではないか・・・?
達磨大師は、なぜインドから中国に来たのか・・・?


立雪亭
少林寺の内部にはたくさんの建物があります。
現在もここで暮らす僧侶たちが修業で使っているます。
一部は観光地として開放していますが、ほとんどは見学不可になってます。

映画「少林寺」の一場面に、僧侶が拳法の訓練をしているシーンがあります。
そのシーンは、床が石畳で敷き詰められているお堂の中。
「八アーッ!八ッ!八ッ!」という掛け声とともに床を一斉に踏む・・・。
鍛錬で何度も繰り返し足で踏むから、床が窪んでしまう。
僧侶の訓練は事実だったそうで、整列したなりに床が窪んでいました。
撓んで(たわんで)いると言ったほうがいいかも・・・。
実際目にすると、上達の手段は毎日の鍛錬あるのみなのだと実感させられる・・・。

また別のお堂で「立雪亭」というのがあります。おもての説明書きを読んで驚いた。
「達磨大師に弟子入りを願い出たが受け入れてもらえなかった。
毎日お堂の外から願い出るが許可されない、中にも入れてもらえない。
そうして毎日通っているうち一年が過ぎようとしていた。
そんなある雪の日に、黙って自分の腕を切り落とした。
大師が雪に血の紅を見つけてようやく弟子入りを許した。
やがてこの人は高僧となったが、この話にちなんで立雪亭は建てられた」というもの。
「どうして、もっと早くに弟子入りを許さなかったんだろう・・・?せめて腕を落とす前に・・・」
お堂の中にはその方の像がありました。片腕が肘から無いのですぐ、その人と分かります。
母とお線香をたむける・・・。


羅盤(ローパン)密かにGET!
少林寺を一通り見て集合時間前に出てきた。おもてで写真など撮って時間を潰していたら、
前方に露店を発見!
「ちょっと行ってくる」と母を残し道路を横断した。
日本人観光客が露店に来ることは珍しいのだろうか、上から下まで舐めるように見られた。

羅盤発見!このローパンには香港の思い出がある。
以前香港に行ったとき探したがなかなか見つからなかったのだ。
ようやく探し当てたのが、とある中国系デパートだった。
小さいのに日本円に換算すると数万円もした。聞けば材質が良いということらしかった。
香港で大金はたいて買ったローパンはお土産にあげてしまった。
今度は自分のが欲しいと思っていたのだ。
日本でも売ってはいるが、まるで‘おもちゃ’で使い物にならない。
「よっしゃ、買うぞ!」と値段を聞いてびっくり!
香港で数万円したのよりずっと大きいのに、日本円に換算して500円にもならないではないか!
「(どういうこっちゃ!?)」
500円からさらに値切って200円程で交渉成立。お買い上げ。


武術ショー(!?)
集合した私たちに、ガイドさんが「少林寺でしか見ることのできないショーがあります。
全員参加なら交渉しますが、いかがですか?」とのお誘い。
約1時間のショーなので、全員参加でなければこのまま出発するという。
私は、武術には大変興味があるが、「(‘少林寺ショー’でしょ?)」「見なくてもいいや」と思っていた。
ところが私を除く全員が見学希望。私次第ということになってしまった。
団体行動ということもあり、従うことにした。100元(2人分)を払ってショーを見学することに。
私はこの時なぜかあまり持ち合わせが無かった。有り金はたいて、ようやく間に合わせた。
もう没有銭(すっからかん)です・・・。

ショーは思ったとおりだった。
全員僧侶のいでたちで‘お腹に乗っけた石を、才槌(さいづち)で打って割る’とか・・・
‘首にロープを巻いて吊るされる’とか・・・
‘3歳くらいのお子達がクルクル回って型を決めて見せ’拍手喝采あびるとか・・・
ショーの見学中に‘体にいい薬’が回ってきて注文とったり・・・

少林寺にはそうそう来れるものではありません。このようなショー見学があっても良いものです。
太極拳を始めて5年経った今、少林寺に行ったらまた違う見方が出来るのではと思うこの頃です。



少年+石+少年=サンドイッチ。その上をハンマーで叩く・・・



首を吊って空中に浮かぶ少年・・・



これから私たちはバスで洛陽に向かいます。
私にとっては雪辱の洛陽です。(1994年洛陽参照)



1997年 洛陽


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