
10.言葉
その2
現代編
ラリー・バード(プエブロ族)
白人は「なぜ」と人に尋ねる。我々は誰にも「なぜ」と尋ねない。
自分が何も学んでない馬鹿だということを言っているようなものだ。
私は子供の頃、人の言うことに耳を傾け、自分から悟るように教えられて育った。
大きくなったら質問することなんかいらない。
自分で見て、自分で聞いて、待っていれば答えは向こうからやってきた。
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スモハラ(ネ・ペルセ族)
白人よ、お前たちは私に、大地を耕せと要求する。
この私にナイフを手にして、自分の母親の胸を裂けというのか。
そんなことをすれば、私が死ぬ時母親はその胸に私を優しく抱きとってはくれないだろう。
白人よ、お前たちは私に、金鉱を探すのだから大地に穴を掘れと要求する。
大地の骨を盗み出すために、大地の肌に穴をあけろというのか。
そんなことをすれば、私が死ぬ時大地の胎内に入れなくなった私は、二度と生まれ変わることができないだろう。
白人よ、お前たちは私に、草を刈れと要求する。
それを干草にして売って、自分たちと同じように金持ちになれという。
しかし、母親の髪を切るような礼儀知らずな事が、いったい私にできようか。
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ウィントゥ族の老婆
白人たちは、大地や鹿や熊たちのことをいつもバカにしています。
私たちインディアンは獲物をしとめた時には、その体を残さずに全部食べます。
根っこを引き抜いたり、家を建てたりする時でも、小さな穴を掘るだけです。
イナゴを退治するため野焼きをする時も、全部を焼き払ったりは決してしないのです。
木の実を落とす時も、私たちは木を揺するだけです。
木を狩ることはしません。枯れ木を使うだけです。
ところが白人たちは、地面を耕し、木々を刈り、ありとあらゆるものを殺すのです。
木が叫んでいます。「やめておくれ、痛いよ」
それなのに、白人たちは木を刈り倒してはバラバラに解体します。
大地の霊はそのことを憎んでいるのですよ。心底おびえさせているのですよ。
大地の霊が、白人を愛するなんてことはないでしょう。
白人が手を触れたいたるところで、大地の霊は深く傷ついてきたのですから。
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エスキモーの伝説〜言葉
はじまりの時、人間と動物の間にはちがいはなかった。
その頃はあらゆる生き物が地上に生活していた。
人間は動物に変身したいと思えばできたし、動物が人間になることもむずかしくはなかった。
たいしたちがいはなかったのだ。
生き物は、ときには動物であったし、ときには人間であった。
みんなが同じ言葉を話していた。
その頃は、言葉は魔術であり、霊は神秘な力を持っていた。
でまかせに発せられた言葉が、霊妙な結果を生むことさえあった。
言葉はたちまちにして生命を得て、願いを実現するのだった。
願いを言葉にするだけでよかったのだ。
しかし、説明したらダメになる。昔は万事がそんな風だった。
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ハロルド・カージナル(クリー族)
我々が自らの権利を譲り渡す時は、我々がもはや人間でなくなる時だ。
もし、我々になにほどの価値もないというのなら、あるいはまたインディアンの社会が
白人社会と対等に条約を結ぶことがそれほど考えられないのだとすれば、
我々は人間としてまったく意味を持たないことになるだろう。
政府は調印した条約でさえ、紙くずのように引き裂いてすてようとしている。
我々は自分たちが人間として扱われないことを、ただ黙然と認めるわけにはいかない。
ひとたび屈服してしまえば、我々は死ぬしかないのだ。
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フィル・レイン・ジュニア(ヤンクトン・スー族)
長老たちはこう言います。
「人生で歩まねばならない最も長い道のりは、ここからここまで、つまり頭から心までの道のりだ」
また、こうも言います。
「指導者として村のみんなに話ができるようになるのは、その道を戻ってきてからだ。
心から頭へ戻ってからだ」と。
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「今日は死ぬのにもってこいの日」から
ね、ほら、わかるよね。
いろんな人がここへやって来る、そして俺たちの生き方の秘密を知りたがる。
やたら質問するのだけど、答えは聞くまでもなく、連中の頭の中でもうできてるんだ。
俺たちの子どもは素晴らしいというけれど、本当のことを言うと、可哀想だと思っている。
さかんにあたりを見まわしても、やつらに見えるものといえば、それは埃だけさ。
俺たちのダンスを見に来るのはいいが、写真を撮ろうと、いつもキョロキョロしている。
連中は俺たちのことを知ろうと思って、俺たちの家に入ってくるけれど、時間は5分しかないと言う。
土と藁でできてる俺たちの家は、彼らから見ると妙チキリンなんだよね。
だからここに住んでいなくてよかった、と本当は思っているわけ。
そのくせ、俺たちが究極の理解への鍵を握っているんじゃないかと疑ってる。
俺たちの人生の秘密を見つけだそうとすれば、永遠の時間があっても、連中には足りないな。
たとえ見つけたとしても、やつらはそれを信じないだろうよ。
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宗教
わたしたちにはいつも何らかの宗教があった。
常に神を信じて、私たちのやり方で神を崇めた。
神様というのはどこか天上の雲の上にいる人間だよ、と教えられたのは
スペイン人がやってきた1598年以後だった。
・・・私たちにとっては、神は岩の中、木の中、空の中、いたるところに存在した。
太陽は私たちの父だったし、大地は私たちの母、月や星は私たちの兄弟姉妹だった。
・・・私たちは白人の神が怖かった。
ある者は鞭打たれ、ある者は殺された。
結局私たちが決めたのは、こういうことだった。
すなわち、外見にはどんな教会へ行こうと大差はない。
私たちの教会は、常に私たち自身の内にあった。
大事なのはこっちの教会だ。
外の教会がみな崩れ落ちても、こっちはずっと長い間残るだろうからだ。
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土地・大地
白人が私たちにすることには、一定のパターンがある。
まず初めに彼らは、私たちが必要としない贈り物を持ってやってくる。
それから彼らは、売ろうにも、もともと私たちの土地ではない土地を買いたいと申し出る。
土地はそもそも誰のものでもない。
それはただ、感謝して、優しく使ってもらうためにここに置かれているだけなのだ。
土地はそれ自身に属しているわけで、その点、空や月や星と同じことだ。
しかし、白人にとっては、こんな考えは気違いじみている。
彼らのために、すべてのものは使いきらなければならない。
それでやっと、そのものは値打ちがあるのだ。
道理で彼らが、私たちの家を奪い、私たちを滅ぼすためには、どんなことでもするわけだ。
これは、私たちの東に住む同朋たちすべてに起こったことだし、
また、私たちの西に住む同朋たちの多くにも起こったことだ。
では、私たちには一体何ができるだろう?
(略)
今私たちがやらねばならないこと、それは静かに敵の中を歩くことだ。
やつらはあるかぎりの武器を持っている。
私たちが持っているのは信念だけだ。
・・・いったいなぜ、私たちを放っておいてくれないんだろう?
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環境問題
「我々の資源には限界がある。アメリカは巨大な蛸のようだ。
たくさんの足を持ち、贅沢な生活をするために、かけがえのない資源を奪ってゆく。
そして西部のインディアンは皆その被害に直面している。
ロスアンゼルスはその発展のために、オーエンス・バレーの水を全部引き込んでしまった。
そしてネヴァダのインディアンは水権利も土地も持たない僅かな居住区になってしまった・・・」
(ノーザン・パイユートのリーダー、エドワード・C・ジョンソン)
(2005年6月記)
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11.書籍


※このページの内容に一部書籍からの引用があります。
それらの資料は「12.その他」にて紹介させていただいてます。
尚、他サイトからの転写はありません。

vol.16
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