11.書籍 紹介
私が今まで読んだ本の中から紹介します。
本文の参考資料でもあります。
   総合
   現在
   歴史


<総合>
「インディアンの生き方」

 ワールドフォトプレス
 monoワールドムック244
私がインディアンの生活に触れた最初の一冊。
マガジンなので写真が中心で、内容は開拓期の悲惨な
歴史アリ、現在の保留地の生活あり、
そこでのパウワウの様子アリ・・・。
「インディアンの声を聞け」

 ワールドフォトプレス
 monoワールドムック266
「インディアンの生き方」の続編。音楽、言葉、
物語などが豊富。
部族の違いがわかりやすく説明されている。
(衣装、住まいなど)モカシンの作り方や、
フェザーワークの作り方まで。
お薦めです!
「アメリカ・インディアン
       奪われた大地」

 創元社
 フィリップ・ジャカン
アメリカ・インディアンの全てがコンパクトに
まとめられている。
ふんだんに絵が入っていて解りやすいので、
入門書として最適。
著者はやや偏った(インディアン贔屓)な点が
感じられるが、個人的にはそんな語り口が気に入って
います・・・お薦めです。
「アメリカ・インディアン
       HOWブック」

 集英社
 アーサー・C・パーカー
インディアンの生活を実際体験するための本。
火のおこしかた、カヌーの作り方などなど・・・。
アウトドアハウツー本のインディアン版といった
ところ。読み物なので写真や絵はほとんどない。
「アメリカ・インディアンの
      世界」

 雄山閣
 マーガレット.フィート
主にペイユート族の生活を紹介したハウツー本。
ペイユート族は湿地帯に住む人たちである。
狩りより漁を主に行っていたことから、その方面が
詳しく載っている。写真も豊富。
推薦します!
「北米インディアン生活術」

 グリーンアロー出版社
 横須賀 孝弘
図解入りで、これさえあれば生活ができそう・・・。
(肝心の土地がないけどね・・・)
構成も解りやすくて読みやすい。とっても参考に
なります。推薦します。


<現在>
勉強になります
「聖なる魂」

朝日文庫
デニス・バンクス
現在のインディアンの権利復活運動に関わる事柄を
調べるとAIMのラッセル・ミーンズやデニス・バンク
に必ず行きあたるはずです。
この本は日本でのみ出版されたデニス・バンクス半生
自叙伝である。
幼い頃の保留地での思い出は興味深い。
現在のインディアン活動と実情を知るにはこの本が
お薦め。
「インディアンという
 生き方・夢にかよう魂」

グリーンアロー出版社
リチャード・アードス
保留地にあって、極力昔ながらの生活を続けている
人たちが豊富な写真と共に載っている。
祭り(サンダンス)や儀式の様子に詳しい。
涙が
とまりません
「リトル・トリー」

めるくまーる
フォレスト・カーター
フォレスト・カーターの幼少時の自伝的回想。
作者はチェロキー族のインディアンである。
この本を単独で読んでも感動的であると思う。
しかし、アメリカインディアンの歴史を知った上で
読んで欲しいと私は思っている。
インディアンの暮らし、そして自然に対する愛情と理解、
ビジョン・・・それらが生活を通して語られている。
まさにインディアンの生き様が描かれていると思う。
作者は1925年生まれで、ネイションは既になく、
白人からいわれなき差別、侮蔑を受けた。
しかし、彼らの心はそんな白人たちに対しても
温かかった。それが彼らなのである・・・。

社会がいかに変わろうがやはり彼らの心は
インディアン精神が受け継がれてさえいれば、
いつの日か蘇ることができるのではなかろうか?
と思わせてくれる希望の一冊だった。

泣きました。
私は電車の中でも読みながら泣いてしまいました。
現代人がなくしてしまった懐かしい温かい心・・・。
伝わってきます。涙がとまりません・・・。
風のささやきを聴け」

めるくまーる
チーワ・ジェームズ
‘今を生きるインディアンたちのスピリット’という
副題がついてる本書には、テレビプロデューサーでも
あるチーワ・ジェームズがインタヴューによって
集めた話しがたくさん載っている。
それは、複数の部族の生活や、激動の時代を生きた
祖先の思い出話や、祖母、祖父から聞いた
伝承や・・・。
オリンピックで金メダルを獲得した
ビリー・ミルズ選手はラコタ・スー族である。
主要なレースで勝っても上位に入った選手を撮る
写真に加わらないように言われ続けた。
ランニング・シューズを売ってもらえないことは
日常茶飯事だった。
それでもラコタ・スーの誇りが彼を金メダルへと
走らせたのだ・・・。
このような短編が集められた心熱くなる一冊。
(2004年12月記)
「アメリカインディアンの
         知恵」

PHP
エリコ・ロウ
‘心の洗濯’をしたくなった時、インディアン居住区
ホームステイしているというエリコ・ロウさんの思い
綴られている。
この本の舞台となった居住区はプロブエだった。
インディアンは部族によって生活様式が異なるので、
インディアンのすべてを物語るこということではなしに、
彼女が交流したインディアンの人たちとの温かい体験
語られている。
例えばラコタ族のヘヨカ、ファーストホースとの
語らいなど・・・。
ヘヨカはメディスンマンのひとりであるが、
笑いによって癒す力を持つとされている。
道化、あまのじゃく的存在だと言う。

また、ズニ族の若者の話も興味深かった。
「これからの時代はインディアンも学歴がなければ」
という親の奨めで彼は学歴を持ち、アメリカ人として
仕事に就き、白人同様の都市生活を始めたものの、
物資重視、上昇志向に凝り固まった価値観とどうしても
相容れず、20代半ばで故郷に帰ってきた。
「仕事と金儲けに追われる生活にどうしても生き甲斐
見出せなかった」と。
そんな彼を迎えたプロブエは失業率50パーセントを
超えて、僅かにある職は店員や作業員といった低技能職
ばかりで、大学卒では学歴が高すぎると敬遠される始末。
ズニ族の習いでは、妻にしたい女性がみつかったら
その家族と結婚前から同居し、その家の家計を助け
始めるのだという。
しかし、彼は定職もないまま恋人の家に居候・・・。
義父は何も言わないが、肩身が狭い。
このように現代の若者の抱える葛藤なども見えてくる。
(2005年6月記)
ナヴァホ族を
知るならこれ!
お薦めの一冊
「風の民」

社会評論社、2003
猪熊博行
会社員時代の旅行で見つけた一枚のラグとの出会いか
インディアン世界に思いを馳せ、第二の人生を
ナヴァホの大学に留学するという形で生活を共にしてい
著者の体験と多岐にわたる研究が著されている。
ジュエリーや織物、現代の持つ環境問題や歴史的背景
まで、実に分かりやすく、読みやすい文体で綴られて
いる。かなりお薦めの一冊です。
※ちなみに、ナバホインディアンと暮らした旅行記に
  「コヨーテは赤い月に吠える」本間正樹(文芸春秋)
がある。
(2005年6月記)
「蛇と太陽とコロンブス/
 アメリカインディアンに
      学ぶ脱近代」

農文協、1992年
北澤方邦
ホピに関して詳しい。
本人の旅行記と研究が交互に書かれている。
現代のネイティブを語る時、アルコール依存と自殺率、
失業、そして公害問題はつきものだ。
それらが上記「風の民」同様、著されている。
ホピは独自の歴史と文化を持った部族であるからホピ
知る上ではこの一冊がお薦め。
(2005年6月記)
「ある森林インディアンの
        物語」

思索社、1991年
ポール・ラディン
ウィネバゴ族のある男の話しである。
斜め読みの飛ばし読みしてしまったが、ペヨーテ信仰
ついての話は珍しさも手伝って興味深かった。
(ペヨーテとはメキシコ原産のとげのないサボテンの
一種で刺激、興奮性のストリキニーネ性の物質と鎮静性
モルヒネ物質の双方を含んでいる。
ペヨーテ信仰はメキシコから次第に北上して19世紀に
中央部の諸部族、20世紀にはロッキー山脈東部の
諸部族に広まった)
本書では不用意に口にしたことで求めていた、宗教的
体感が得られた経緯が描かれている。
また、「風の民」にもあったように、現代インディアン
問題にも触れられていた。

余談ながら、「レイニ・マウンテンへの道」
1976年、N・スコット・ママディ著作
(現代アメリカ人としてのインディアン作家)が
紹介されていた。
カイオワ族の伝説を自然に対する祖先の畏敬に満ちた
憧れが描かれているという。いつか読んでみたい・・・。
(2005年6月記)
「そして名前だけが残っ
た」

あすなろ書房
アレックス・W・ピーラー
著者自身もチェロキー部族であり、チェロキー
インディアンの「涙の旅路」を著した。
チェロキーに限らずどの部族も移住を強いられ、
劣悪な環境に押し込められた、それが原住民の悲しい
歴史である。
チェロキー部族は人口も多く、地名に名残をとどめて
いる。が、その文化は果たして・・・。
(2020年4月記)


<歴史>
BEST OF
BEST!
「わが魂を聖地に埋めよ」
 上巻

草思社
ディー・ブラウン著
一言でいえば闘争史である。私のバイブル的歴史書でもある。
ぜひ皆さんに読んで欲しい本です!
最後まで読み終えるまで私は何度泣いたことが・・・。
この2冊で各部族の歴史が網羅されるといっても
よいでしょう。
生活や精神性についてもオールマイティに知ることが
できます。
できれば最初に読んで欲しいと思います。

著者はアメリカ政府書簡に収められている資料を基に
ノンフィクションで事実に忠実に描くことを心がけたと
言っている。
以前から疑問に思っていた「インディアン」の歴史の全貌が
これを読んではっきりしました。
私のインディアンに対する疑問は映画から始まっていた。
「この人たちが、先に住んでいたのに、なぜ・・?」と
不思議に思っていたのだ。
それに、写真でみるインディアンの顔はみんな悲しげだ。
笑顔を写真は見たためしがない。「どうしてだろう?」
この本を読んで歴史と写真の謎は解明したが、白人の考えは、
これを読んだ後も理解できないままでいる・・・。
何をおいても
一番の
お薦め!
「わが魂を聖地に埋めよ」
 下巻

草思社
ディー・ブラウン著
「アメリカ・インディア
     死闘の歴史」

三一書房
スーザン・小川
平原部族に焦点を当て、実際にその土地を見て回った著者の
文章には気迫が感じられる。
聖地ブラック・ヒルやクレイジー・ホースの彫刻のこと、
独り旅の鉄則のくだりは、私も同感である。
歴史の欄に入れましたが、インディアン文化や生活、
平原部族全般にわたって書かれてる。
「カスター将軍最後の日」

青山出版社
ウイリアム・テイラー
カスター将軍の第7騎兵連隊にいたウイリアム・テイラーの
日記風記録を78年を経て発見したグレッグ・マーティンが
まとめたもの。
従軍兵士の歴史的証言を当時の写真とともに書かれている。
注目すべきは、兵士個人のインディアン戦争に対しての意識が
浮き彫りにされている点。
個人(白人兵士)と集団(政府)のインディアンを見る目の
開きが当然のことながらあったのだということがわかる一冊

特にp243のジョージクルック将軍の一言。
p290のインディアンが語ったリトル・ビッグホーンの
戦いの様子は興味深い。

  
「ブラックエルクは語る」

めるくまーる
ジョン・G・ナイハルト
ブラックエルクが語った「終わりなき夢と闘い」が
1973年に出版されたが絶版となる。
その後、社会思想社から「ブラックエルクは語る」が出たが、
これも絶版になった。
そして、2001年同じ題でめるくまーるから再出版。

ブラックエルクの自伝的半生が描かれている。
彼の見たヴィジョンとメディスンマンとしての使命感。
それが果たせないことへの焦燥感。
ラコタ族の辿った平原インディアンの最も過酷な時代を
生の声で語られている。
それは彼自身の体験した事柄であり、その言葉には体験の
持つ力強さがある。
「わが魂を聖地に埋めよ」を裏付ける歴史でもあり、
初版は1932年であり、こちらのほうが先に書かれている。
また、「カスター将軍最後の日」と重なるくだりも興味深い。

AIM運動で知られるデニス・バンクスは「聖なる魂」の中で
「夢と現実の境界がわからなくなってしまった変な男の
夢物語」という印象を持ったそうだが、私もそのように感じる
ところもあった。
しかし、インディアンにとって夢(ビジョン)は重要な意味を
持っていて、現実可能とされている。
(本書にはその方法も書かれている)
であるから、インディアンの歴史のみならず、本書には
インディアン特有の精神世界も読み取れる。

クレイジー・ホースの死から聖地ブラック・ヒルの略奪
ウーン・デッド・二ーの虐殺にいたる平原インディアンの
最後のくだりにはワシチュー(白人)に対して憤りを
かくせない・・・。不滅の名著である!
(2004年12月記)
感動!
「イシ」
北米最後の
  野生インディアン

岩波書店
シオドーラ・クローバー
イシという野生インディアンが見つかったのは1911年の
ことだった。
その後、ヤヒ族のインディアン、イシはカリフォルニア大学
博物館で文明生活を送ることになる。
野生インディアンだったイシが文明生活の贈り物、結核菌に
侵され死に至るまでの生活の様子が描かれている感動の一冊。
日本語と似通った言葉の記述や、医術に関しての知識には目を
みはるものがある。
特に麻酔に関しての記述は的を得ていて読んでいて
面白かった。
イシの作法は周囲の白人から愛され、イシの死に際して
彼の親しかった友人であり医師でもある人物は次のように
語った。
「彼は文明人を知恵の進んだ子供−頭はいいが賢くはない者と
見ていた。
我々は多くのことを知ったが、その中の多くは偽りであった。
イシは常に真実である自然を知っていた。
彼はすべてを奪われたにもかかわらず、その心には恨みは
なかった。
彼の魂は子供のそれであり、彼の精神は哲学者のそれで
あった」
そして彼の最後の言葉は「あなたは居なさい、ぼくは行く」
だったという。深いです。
れは哲学者の言葉ではありませんか・・・
アメリカでは当時、野生インディアンの発見は大々的な
ニュースとなり話題にもなったそうだが、
日本ではあまり知られていない。
・・・そう遠い昔の話ではない事実である。
インディアン関係の書物としては変り種ではあるがぜひ読んで
いただきたい一冊。
同時代ライブラリーで文庫本が出ています。

(2005年7月記)


12.その他








vol.17